AIイベレポ! 『SPY×FAMILY』『ダンダダン』ほか世界に人気漫画を生み出す編集者・林士平さん「一番大事なのは楽しみながら描くこと!」
- AICU Japan
- 4月14日
- 読了時間: 7分
更新日:4 日前

「マンガ家って、どうやって作品を生み出しているの?」
「プロになるには何が必要なの?」
そんな疑問を解き明かす、とても貴重な講座に参加してきました!
ジャンプ作品の数々のヒット作を手がけた編集者・林士平(りんしへい)さんによる講演「編集者の視点から学ぶマンガの作り方 - 受講生作品講評」のレポートを「つくる人をつくる」をビジョンに活動しているAICU編集部がお送りします。レポーターはオリジナル絵本制作を手がけている まいまいがお届けします!
◾️子どもも大人もワクワクする!編集者の視点から学ぶマンガの作り方|デジハリ・キッズクリエイターズフェス(2025年3月30日・デジタルハリウッド大学で開催)
【プレスリリース】デジタルハリウッドのこども向け短期講座| 漫画制作サポートAIを活用したマンガ・イラストを学ぶオンライン講座が開講!

本格的な漫画・イラストの描き方、そしてと漫画制作サポートAI「コミコパ」集中講座を終えた、子どもたちへワークショップの最終工程とのことで、林さんの講演と、作品講評が実施されました。
■ マンガができるまでのリアルな工程
マンガ制作って、絵が描ければいいと思っていませんか?
実際には、プロの現場では「ネーム(下書き)」→打ち合わせ→修正→決定稿→下描き→ペン入れ→入稿という流れを、なんと200回以上も繰り返すのだとか!
これをiPadや「クリップスタジオ」といったツールを使って行うのが今のスタンダード。」7000-8000円くらいで使え、全員のプロがつかってるツールなのだとか。
「効率よく、でも熱量はそのままに」という今のマンガ制作のリアルが垣間見えました。

優しい語り口調、短い時間で凝縮したお話をする編集者・林士平さん
<都合により写真は紹介できませんが…>
「SPY×FAMILY」のネーム(下書き前の設計図)レビューの様子が林さんの手元のタブレットPCから投影されました。下書きのコマ割り、人物、セリフに対して、赤い点で林さんによる指摘箇所を入れていきます。
「ダンダダン」のネームも紹介されました。かなりの描き込みがされています。作画に着手するまでに、何度も編集者と漫画家で行き来をするそうです。
■ 受講生のマンガ作品に講評!
今回のトークイベントでは、デジタルハリウッドが開発する こども向け短期講座、「漫画制作サポートAIを活用したマンガ・イラストを学ぶオンライン講座」4日間にわたる参加者の成果物が講評されました。

「意外性がある」「影の使い方がいい」「楽しんで描いているのが伝わる」など、ポジティブなフィードバックがたくさん。
中でも印象的だったのは、
「一番大事なのは楽しみながら描くこと!」という言葉。
描く前によく観察して、想像力を働かせて、描くことにワクワクしてもらえたら嬉しい──そんな林さんの想いが会場を包んでいました。





■ プロになるためには?
林さんによると、プロを目指すなら、10代後半〜マンガ賞に応募するのがスタート地点とのこと。
読み切りを描いてレベルを上げ、編集部に持ち込んでプロから講評を受けることが重要。
編集者との出会いがきっかけで、名刺をもらって担当になってもらえることも!
しかも金銭は発生せず、「新人を育てたい」という思いから手厚くサポートしてくれるそうです。
■ 小中学生からできることは?
「今から何をすればいいですか?」という質問に、林さんはこう答えていました。
“観察してから描く”ことが基本!
マンガ家・イラストレーターを本棚に5~10人分そろえ、その中から「髪はこの人」「目はこの人」といったように、いろんな要素を取り入れながら自分のスタイルをつくることが大切なんだそうです。
そして最優先なのは背景ではなく、キャラクターの絵を上手に描くこと!
週刊連載では背景はアシスタントに任せることもあるので、まずは主役の描き方に集中しよう!とのことでした。
■ 絵だけじゃ足りない!物語が命
「絵がうまければマンガ家になれる?」
その問いには、「NO」という答えでした。絵と同じくらい、物語が大事。
物語力を育てるには、マンガ、小説、映画、アニメ、ゲーム…あらゆるものを読む・観る・感じること。特におすすめは児童文学。言葉がきれいで、大人が子どもに読ませたいと思える内容が多く、想像力を育てるのにピッタリ。図書館も活用できるので、親子で一緒に“物語にふれる時間”を持つことが、創作の第一歩になります。
漫画家になるための進路のアドバイスも!
親御さんへのアドバイスとしては「iPadでかける環境を整える」のが大切。
そして漫画家になりたい!という気持ちがあっても実際は、プロになり稼ぐとなると芸事、アイドルに近いところがある。中、高、大までは両方とれる道を選ぶ進路がオススメであり、知識を入れることは大事。とおっしゃっていました。
売れてる人は頭も良く知識が豊富。
例えば、歴史とか英語の文章など、そのもの自体が物語になる。とのことで、やはり知識は大切だとよりリアルな本音を聞くことができました。
■ ゲームやAIについての見解
ゲームを参考にする場合には注意が必要とのこと。「面白いけれど、時間がかかるので要注意。参考にするなら、何時間使ったか覚えておくことが大事」とアドバイス。
そして今話題のAIについても、「AIでなんでもできるようになってきている今、AIでの漫画制作をどう捉えているか」と会場から質問がありました。実に興味深いです。
その質問に対しての返答は、「著作権をクリアにしていればOK」というシンプルなもの。「物語を考えるために使うのはとても便利。特に法律、弁護士、医療関連はAIで検索するには便利で使いやすいため、ちゃんと調べた情報をチェックする前提で使うのであれば使っていくことも全然あり」とのこと。
いちばん大事なのは想像力
「本当に人に響くものは、体験からくる“感覚”が必要だ。という意見がありますが、そしたら殺人鬼の物語は本当に殺してるのかというとそうではない。いちばん大事なのは想像力だ」と語っていたのが印象的でした。その想像力を鍛えるためには「五感で感じるような体験をたくさんすることが必要」とのことでした。
「現実主義、体験主義ありきで漫画描かなきゃならくなったら、殺人事件があったら人殺してこなきゃならなくなるじゃないですか」というセリフに、AICU編集部のしらいはかせも感銘を受けていました。
■ 海外との関係は?
海外向けにストーリーは変えるの?という質問には、
「基本は日本の読者に向けて描く。でも、結果的に海外でヒットすることも多い」とのこと。実際にフランスなどでは、日本のマンガが大人気。
「ダンダダン」などは「フランスのファンの方が先に発見した」そうです。熱心に漫画を読んでくれる読者がフランスには多いとのこと。
フランス・パリの書店での漫画コーナー。日本の作品がいっぱいです。

「自分の感性を信じて描くこと」そして「楽しく描くこと」が、世界に届く秘訣かもと思いました。
■ 最後に
“好き”から始まる未来は、きっと誰にでも開かれている。
この講座を通して、そんな前向きなエネルギーをたくさん受け取りました。子供達も必死にメモを取っている様子や興味津々で聞いていました。
マンガ制作の世界を知ることで、子どもたちは新しい夢の入口に立ち、大人も「今からでも遅くないかも…」と思える瞬間があるはず。
気になる方は、次回ぜひ参加してみてください!
そして、「描くことが好き」「物語を届けたい」と思うすべての人へ。
この講座は、まさに“未来への種まき”のような時間でした。
レポーター:まいまい(AI✖︎絵本作家)
自分自身の世界観で企業様向けのオーダーメイド絵本で、言葉だけでは伝わらない企業の想いやビジョンを“絵”で表現し、PRやブランドの価値を高めるお手伝いをしています。個人向け では、お子様やペットとの大切な思い出を、ヒアリングを通して世界に一つだけの絵本 として形にしています!
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Originally published at note.com/aicu on Apr 14, 2025.
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