[ComfyMaster27] 写真もイラストも線画に!ComfyUIとControlNetによる線画抽出ワークフロー #ComfyUI
デジタルアート制作において、画像から線画を抽出する技術は、イラストのトレースや3Dモデル作成の下準備など、様々な用途で重要性を増しています。特に、AI技術を活用した自動線画抽出は、作業効率の大幅な向上に貢献します。今回は、線画抽出をComfyUIで実現します。
こんにちわ、AICU media編集部です。
「ComfyUI マスターガイド」第27回目になります。
本記事では、ComfyUI、ControlNet、そしてLoRAを組み合わせることで、高品質かつ詳細な線画を効率的に生成するワークフローを紹介します。
[ComfyMaster26] ControlNetでイラストを精密に実写化! #ComfyUI
1. 概要
今回は、ComfyUIを用いて画像から高品質な線画を抽出するワークフローを紹介します。ControlNetとLineartを用いて画像から線画を生成し、LoRAを用いて漫画スタイルの線画に仕上げます。
具体的には、「AnyLine LineArt」ノードで画像から粗い線画を抽出し、それを「controlnet-union-sdxl-1.0」と「LineAniRedmond」LoRAを用いて、より洗練された線画へと変換します。
このワークフローを使用することで、元の画像の構図を維持しながら、アーティスティックで高精細な線画を生成することが可能です。 様々な画像(アニメ風、実写、建物)を用いた作例も提示し、ワークフローの有効性を示します。
2. ワークフローの使用準備
ControlNet
ControlNetの使用準備については、以下の記事をご覧ください。
今回は、ControlNetのLineartを使用します。Lineartで粗い線画を抽出し、その後にその線画を低ノイズでサンプリングし、補正をかけます。
LoRA
今回は、LoRAに「LineAniRedmond」を使用します。このLoRAは、漫画スタイルの画像を生成してくれるLoRAで、線画の質を上げるために使用します。以下のリンクよりダウンロードし、「ComfyUI/models/loras」フォルダに格納してください。
使用素材
今回は、以下の画像を線画にします。
以下のリンクから画像をダウンロードしてください。
女性のイラスト (右クリックで保存)
3. ワークフローの解説
以下がワークフローの全体構成になります。このワークフローは、入力画像から高品質な線画を抽出し、それを基に新しい、より詳細で洗練された線画を生成します。ControlNetとLoRAの使用により、元の画像の構造を維持しながら、高度にスタイライズされた線画が作成されます。結果として、元の画像の本質的な特徴を保持しつつ、より洗練された、アーティスティックな線画表現が得られることが期待されます。
ワークフローは、文末のリンクよりダウンロードしてください。
以下に、このワークフローの主要な部分とその機能を図示し、詳細に説明します。
入力画像の読み込みと線画抽出
Load Imageノード: 「girl_anime_02.jpeg」を読み込みます。
AnyLine LineArtノード: 入力画像から線画を抽出します。
モード: lineart_standard
解像度: 1280
詳細度: 0.1
Image Invertノード: 抽出された線画を反転させます。
モデルとLoRAの読み込み
Load Checkpointノード: 「RealVisXl.safetensors」モデルを読み込みます。
Load LoRAノード: 「LineAniRedmondV2-Lineart-LineAniAF.safetensors」LoRAを適用します。
強度: 1.0 (モデルとCLIP両方に適用)
ControlNetの設定
Load ControlNet Modelノード: "controlnet-union-sdxl-1.0-pro.safetensors" を読み込みます。
Apply ControlNet (Advanced)ノード: 抽出された線画を使用してControlNetを適用します。
強度: 0.5
プロンプト処理 (CLIP Text Encode(Prompt)ノード x2)
ポジティブプロンプト: 「8k, best quality, masterpiece, ultra detailed, ultra high res, extremely detailed, finely detail, lineart,」
線画が細かくなるように品質向上のタグを設定する
「lineart」は、
ネガティブプロンプト: 「colorful, monochrome,」
線画のみになるように、色が付くようなタグを設定しておく
画像生成 (KSamplerノード)
Seed: 474030329745381
Steps: 20
CFG Scale: 7
Sampler: dpmpp_2m
Scheduler: karras
Denoise: 0.8
画像のデコードと後処理
VAE Decodeノード: 生成された潜在表現を実際の画像にデコードします。
Color To Maskノード: デコードされた画像から白色部分をマスクとして抽出します。
Save Image With Alphaノード: 最終的に生成された画像をアルファチャンネル付きで保存します。
AnyLine LineArtの詳細
AnyLine LineArtノードは、複数の線画検出モデルを使用して入力画像を線画に変換します。このノードの各ウィジェットの意味は以下の通りです。
merge_with_lineart: 線画抽出を行う解像度を設定します。以下のモデルから選択可能です。
lineart_standard: 標準的な線画用の汎用モデル。
lineart_realistic: リアルな画像に特化し、細部を捉えるモデル。
lineart_anime: アニメスタイルの画像に最適化され、特徴的な要素を強調します。
manga_line: マンガスタイルのイラストに特化したモデル。
resolution: 線画抽出を行う解像度を設定します。デフォルトは512ですが、必要に応じて高解像度や低解像度に調整可能です。高解像度はより詳細な線画を提供しますが、計算資源を多く消費します。
lineart_lower_boundとlineart_upper_bound: 線検出プロセスの感度を制御するためのパラメータです。これらの値を調整することで、線画の細かさや強調具合を微調整できます。
object_min_size: 抽出時に考慮されるオブジェクトの最小サイズを指定し、小さなノイズやアーティファクトをフィルタリングします。デフォルト値は36です。
object_connectivity: 抽出中に接続されたコンポーネントの識別方法を定義します。デフォルト値は1で、オブジェクト間の接続性を決定します。例えば、複数のオブジェクトが接触している画像で、それらを一つの連続した形状として扱いたい場合、このパラメータを調整します。デフォルト値は1で、接続されたピクセルがどのようにグループ化されるかを制御します。(具体的に抽出される線画にどのような影響があるのか不明)
4. 生成結果の確認
以下が生成結果になります。背景は抽出できていないですが、前面の人物は線画に変換できています。
出力される画像は、背景が透過画像となっているので、抽出元画像と重ねて表示してみました。元画像に比較的忠実に抽出されていることが分かります。
他の画像でも試してみました。
実写からの線画抽出例です。こちらも綺麗に抽出できています。
建物から線画を抽出してみました。かなり細かいところまで線画として抽出できています。
5. まとめ
本記事で紹介したワークフローを用いることで、ComfyUI、ControlNet、LoRAの連携による高品質な線画抽出が可能になります。AnyLine LineArtノードによる柔軟な線画抽出、ControlNetによる精密な制御、そしてLineAniRedmond LoRAによる画風調整といった各要素が組み合わさり、様々な画像に対して精緻でアーティスティックな線画生成を実現します。アニメ風、実写、建物といった多様な画像例からも分かるように、このワークフローは幅広い用途に応用できる強力なツールとなります。今後のデジタルアート制作において、本記事で紹介したワークフローが、より効率的で創造的な作品制作の一助となることを期待します。
次回は、ラフ画から画像生成の方法を紹介します。乞うご期待!
今後の連載は以下のような内容で続きます!
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