AICUインキュベーション「NISHIKI-E:アニメレガシー補完計画」のご紹介
こんにちわ、AICU mediaのはねごろうです。CG・バーチャルアイドルに長年関わってきたんですが、AICUの「つくる人をつくる」に共感して勉強させていただいております。
今月からAICU media編集部でお世話になっています。
AICUには「AI-PM養成プログラム」という「AIで何か事業を作る人」をプロフェッショナルに育成するインキュベーションプログラムがあります。
「つくる人をつくる」の中でも特に、キーとなるプロジェクトマネージャー(AI-PjM)/プロダクトマネージャー(AI-PdM)育成を目的にしています。
この記事では、私の先輩の羽田Pが取り組んでいる起業プロジェクト「NISHIKI-E:アニメレガシー補完計画」について紹介します。
パートナー企業を募集しております!
最後に公開版資料へのリンクを紹介しています。
アニメレガシー補完計画:プロジェクトメンバー紹介
羽田さん
バーチャルライブ・ゲームオープニング映像を中心にCG映像制作に約10年携わる。その後、2Dと3Dをハイブリッドに使用しているアニメ制作会社を
経験して、実写系CGVFXのプロデューサーとして活動しながら、AICUでAIクリエイターとして経験を積みつつ「AI-PM養成プログラム」でNISHIKI-Eプロジェクトを立ち上げています。
白井さん
AICU Inc. CEO
メタバース開発、VRエンタテインメントシステム、メディアアート研究、写真工学、画像工学を専門に画像生成の研究開発で30年近い経験を持つ博士(工学)。芸術科学会副会長。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。
NISHIKI-Eプロジェクトではアドバイザー兼CTO候補になります。
目的:映像文化のレガシーを未来をつくる資源にしたい
①日本の映像文化の「中間生成物遺産」の規模と消失の可能性
②プロのアニメ制作の現場 と 画像工学/AI研究の融合による
③権利解決による新たなコンテンツ創出と収益化
①日本の映像文化の「中間生成物遺産」の規模と消失の可能性
現在は「負担でしか無い」アニメ制作費の1-2%のアーカイブ費用は、
本来、1000億円規模の資源です。
②プロのアニメ制作の現場に信頼を得ることは簡単ではありません。
また美術品であり、特殊な技術も必要です。
すでに世界同時的に進行している映像文化のAI技術の浸透に、
対話可能で専門的かつ横断的な民間企業が必要になります。
それを『倉庫から始めるイノベーション』としてはじめます。
③最新の完成したアニメだけでなく、過去作、そして未来に生まれるで
あろうクリエイターに向けた中間生成物によるミュージアム
『NISHIKI-E』(仮)を作ります。
この取り組みは、アニメをはじめに取り組んでいきますが、漫画、
ゲーム、映画、ドラマ、広告、など日本の映像文化の発展に幅広く貢献
していくことができるはずです。
解決すべき課題
アニメ制作におけるアーカイブコスト
アニメーション製作全体にかかる保管費用
アニメーション全体予算:約2億~3億円
アニメーション1話製作費:2,000万~3,000万円
アニメーションカット数:200~300cut/話
収納量:10cut/箱
minikura:320円(HAKOプラン ブックBOX)
1話あたりの収蔵費用:約1万円~/月
1クール(13話)全体の収蔵費用:約13万円~/月
アニメの制作期間:約2年
平均2年で制作するがプリプロ期間を考えると、
収蔵費用は最初は少ないがだんだんと伸びていく。
13万円×24ヶ月÷2=156万円
放映が始まる頃には毎月13万円ずつかかる。
第2シーズンの放映が2年後だとしたら、更に13万円×24ヶ月=312万円が
製作委員会・アニメスタジオが負担するアーカイブ費用の最低金額と
なります。
アニメーション全体製作費からすると最初に書いた予算(約3億円)から
考えると約1~2%である。
ただし!それで終われるのであれば!
1クールで忘れ去られる作品ならともかく、殆どすべての作品に関わった
原画や設定資料などの中間生成物はずっと捨てられるものではないでしょう。
最新の作品は紙と鉛筆での原画ではなくデジタルでの制作が多くなってきていますが、それでもアニメ業界のITの方々はストレージの問題に悩まされています。
つまり、制作期間において1~2%だったアーカイブコストは、愛される作品になればなるほど増大していくという現実があります。
紙の資料だけではなくハードディスクやクラウドストレージなどがペタバイト級のサイズで使われています。
短命な作品であった場合、製作委員会は通常5年程度で解散します。
製作委員会が解散したあとも、アニメスタジオが原画を保管しているケースは少なくありません。
このようなコストがアニメスタジオの経営において重荷になったり、若手アニメーターの報酬面の間接的な負担になったりしているという現実が見えてきます。
グローバル化したアニメの市場規模とAI時代の新たな問題
アニメ業界の世界市場規模は2022年の段階で約3兆円に近づいています。
この成長はNetflix・Amazonプライム等の世界規模の配信サービスの
関与であることは誰でもが理解していることでしょう。
日本のアニメが同時に世界で楽しまれる、その様子は例えば
『シン・エヴァンゲリオン』『鬼滅の刃』の世界的ヒットなどの反応からも、皆さん体感していることでしょう。
続いて、画像生成AIの世界においてはご存じの通り日本のアニメ・漫画・
ゲームなどの文化は大きな存在感を持っております。
(具体的なサービス名はここでは控えますが)世界のアニメファンにとって、日本のアニメにインスパイアされたアートは大きな価値を持っています。
一方で、日本のアニメファンや市場の温度感は異なっているように感じます。
たとえば、こちらのプロジェクト。
アニメーションに特化した大規模なデータセットとして作成された「Sakuga-42M」という海外の研究者による無料で利用できるデータセットです。
(これは個人的な見解ですが、ネット上に置かれているアニメ素材を吸い取られていくし、そもそも許可も対話もされていないように感じられます…)
これは明治時代の浮世絵(錦絵)の海外流出と似ている状況ではありませんか?
日本国内では世俗風俗のためのファンアートであった「浮世絵」
=芸術として保護の対象ではなかった大衆商業芸術
絵師、彫師、摺り師などに分業された進化したカラー印刷技術であり、
明治時代、多くの刷り絵や版木が流出し、各国のオークションにて高値に取引され、また、各国を代表する美術館にも収蔵され世界中を巡回しています。
ところで、アニメーション制作の遺産(原画、人材、技術)は、浮世絵と同じく日本での認知が低いまま失われる危機に直面しています。
また、世界でのアニメーションの芸術性は注目が高まっており、遺産継承の重要性と価値も増しています。
例えば、わかりやすい例ですと"オタキング"こと岡田斗司夫先生(東京大学教養学部元非常勤講師、大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科元客員教授)による公式YouTubeでの解説動画では、スタジオジブリ公式から「常識の範囲でご自由にお使いください」と公開された画像を元に公開しております。
引用元:スタジオジブリ作品の場面写真より
引用元:岡田斗司夫氏
UG# 226】祝100万再生突破!「本当は10倍怖い『火垂るの墓』」/OTAKING explains "Grave of the Fire flies"(現在412万再生)
そのためにも、未来のクリエイティブな可能性を広げ、アニメーションの歴史と文化を次世代に継承し、発展させるための対策が必要となります。
新しいファンやクリエイターに向けて、アニメのレガシーを守り伝えることはとても重要です!
ソリューション:
アニメーション素材を扱う方ならご存じですが、一般の方の認識でないものとしてはアニメの工程としては『撮影』という職人的なスキャン技術が必要になります。
NISHIKI-Eプロジェクトでは、この工程に10年以上の現場ノウハウと技術・デバイスを使用した最新のデジタル技術を用いて、アニメーションの最終成果物ではない中間生成物を、権利解決し収益可能にするというソリューションを開発していきます。
これにより、現在の市場規模から推定できる年間約900億円の倉庫保管費等として消失しているアーカイブ費用を投資に変えて、素材の劣化やストレージの消失を防ぎつつ、デジタルミュージアムの『観光客の創出』という経済的なサステナビリティを持たせて未来に貴重なレガシーとして『世界遺産』のような巨大な市場価値を作り出します。
一般のコンシューマー向けスキャンデバイスでは原画を破損する可能性があるため、使用できません。
お預かりした原画を可用性高く保護する技術も必要です。
例えば、カット袋も重要なレガシーです。
アニメ1話24分で300カット、紙と鉛筆で作画するスタジオは、段ボール箱にして10箱以上のボリュームがあります。
デジタル作画に移行をしても、原画修正などは紙と鉛筆での修正が
未だ主流となっている会社も多く、また、見やすいプレビュー付きの看板方式などの意味もあるため、カット袋が無くなることがない現場も多いようです。
また、関わった方々の作業や対話の記録や、専門的な記号なども多いため、
カット袋の解読には専門的知識が必要となります。
世界規模のアニメファンに向けて届けるべき推し活に必要となるクリエイターの情報や作画の情熱を届けるためにも、言葉の壁を越えたAI時代においてこの情報の解読やタグ付け・閲覧性こそに価値があります。
引用元:チームかずのこの丘のブログ
もちろん、メイキングに興味がなかった方々も多いでしょう。
最終作品をテレビや配信サイトで見ていただけの子供たちが
いずれ作品の作り手に興味を持つということは世界で同時に起きています。
2018年のアニメのグローバル化からまだ日の浅い今こそやる必要があります。
世界のアニメーションの先駆者であるディズニーが運営している
公式ファンサイト『D23』は若いディズニーファンに大変人気である
というはご存じでしょうか。
もちろん、Disney+とも連携をして他の作品への愛情も強まる作りとなっています。
さらに、サブスク会員には特別なコンテンツやシークレット・周年イベントへのアクセスが可能になります。
引用:D23
日本のアニメスタジオでのこのような国際的な取り組みを応援していきたいと考えています。
想定されるユーザー:
①世界中のアニメファン
世界中からアクセス可能なアーカイブ『NISHIKI-E』(仮)を構築します
『NISHIKI-E』(仮)ではアニメの資料以外にも、レジェンドアニメーター
の解説動画なども公開していきます
②これからのクリエイター/専門学校/インフルエンサー
『NISHIKI-E』(仮)の素材を利用して未来のクリエイターの教育に
原画・動画などをご使用いただけるように致します
③多くのレガシーを抱えるアニメスタジオ/アニメーター
現状、倉庫コストにお悩みのアニメスタジオさまと連携し、
①②のユーザーから集められるリクエストが集まる作品を優先に、
スキャンを実施、商品・イベント・聖地巡礼などの開発や、
レジェンドスタッフと連携したオリジナルコンテンツとしての
レクチャー・解説動画などへの出演をお願いします
結論:映像文化の遺産(レガシー)を 未来をつくる 資源(リソース)にしたい
①日本の映像文化の「中間生成物遺産」の規模と消失の可能性
現在は「負担でしか無い」アニメ制作費の1-2%のアーカイブ費用は、
本来、900億円規模の資源です。
今後は紙の収蔵物は減っていくがデータのストレージ量はふえていきます
②プロのアニメ制作の現場 と 画像工学/AI研究の融合
プロのアニメ制作の現場に信頼を得ることは簡単ではありません。
また美術品であり、特殊な撮影技術も必要です。
すでに世界同時的に進行している映像文化のAI技術の浸透に、
対話可能で専門的かつ横断的な民間企業が必要になります。
それを『倉庫から始めるイノベーション』としてはじめます。
③権利解決による新たなコンテンツ創出と収益化
最新の完成したアニメだけでなく、過去作、そして未来に生まれるで
あろうクリエイターに向けた中間生成物によるミュージアム
『NISHIKI-E』(仮)を作ります。
この取り組みは、アニメをはじめに取り組んでいきますが、
この取り組みを軸として、漫画、ゲーム、映画、ドラマ、広告、など
日本の映像文化の発展に幅広く貢献していくことができるはずです。
このように、日本には世界中で市場価値のあるアニメーションが多くあり、NISHIKI-Eプロジェクトではこれらを十分に活用し、
アニメスタジオへの収益を可能にし、なおかつ未来のクリエイターやファンへ届けるために魅力的なコンテンツを構築してまいります。
皆様へのお願い
賛同していただけるアニメスタジオ
具体的には、倉庫に沢山の素材を保管している会社さま
NISHIKI-Eでは皆様と連携・協力・雇用創出しながら、
倉庫に眠るレガシーを未来のクリエイターやファンのために継承していく
お手伝いをしたいです!
フロントエンド開発会社
資金調達と並行してPoCを作っていきます。
D23を超えるような素晴らしいウェブサイトを作成したいです!
アニメを愛するファンの方々
みなさまの
この会社の、この作品の、このシリーズの、
この話の、このシーンが欲しい!
この原画マンの、この監督の、このこだわりが見たい!!
そういった想いを是非教えてください。
これらの想いで実現できるのが『NISHIKI-E アニメレガシー補完計画』
プロジェクトです!!
この計画はファンのみなさま・レガシーをお貸し出しいただけるアニメスタジオの方々・クリエイターの方々・レジェンドの方々のご協力がなければ
成立しません。
アニメレガシー補完計画に参加して、
大好きだった作品の答え合わせをしていきませんか?
まとめ
以上が「NISHIKI-E」プロジェクトの説明となります。
大きな芸術的・市場的価値を持つアニメーション作品の
新しい展開方法のため、多くの困難が予想されます。
ただ、これはアニメ業界においても大きな一歩となる素晴らしい価値を
持つプロジェクトだと信じております。
沢山の方々にご協力をお願いすることになると思いますので、
是非ともお力添えの程お願いい致します!
公開版PDFはこちらからご覧ください
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ご連絡先→vc@aicu.ai